
タイトル募集中(school rumble X fate 謎のクロスオーバーになっちゃった作品)
目が醒めた。
頭が働かない。
そのまま数十秒、脳が動き出すのを待つ。人間のごく自然な行動。
思考の起動をサポートする為に目を瞑って大きく息を吸い込む。
肺から吸収された酸素が脳の動きを活性化する。動き始めた脳が習慣化された行動を紡ぎ出す。
「学校に行く用意を
『とりあえず巡回して
しないとね」
情報を集めないと』
思考を止めた。変だ。安定しない。ノイズが混じってる。
もう一度瞼を閉じて思考にリセットをかける。
再起動をする。
「今日はバイト有っ
『いきなり戦闘になると
たかしら?」
不利だから慎重に運ばないと』
―――間違いない。何か混ざっている。
全く、ソファーなんかで寝るからこんな事に……、って、何故私はソファーなんかで寝てるのだろう?
そもそも家にソ
ぼんやりとそんな事を思いながら額に手の平を当てて指先でこめかみをキュッっと締めてみる。
脳にかかる軽い圧力が刺激になって、絡まった思考が整頓される。
改めて――絡んだ糸を解すように――分断された項目を連結させる。
「学校に行く用意をしないとね。今日はバイト有ったかしら?でもクラブには顔出して置いたほうが良いわね」
『とりあえず巡回して情報を集めないと。万が一いきなり戦闘になると不利だから慎重に運ばないと初手で脱落にもなりかねない』
なんだろう、これは。
どちらも間違いなく私の思考だ。それぞれに矛盾は無い。
しかし、この二つの思考が同時に存在する事は限りなく矛盾がある。
そもそも戦闘なんてスケジュールが私に存在しているとは思えない。
何故なら私は普通の女子高生で茶道部の部長で今回の件で協会から派遣された古の一族の魔じゅ
おかしい。
自分自身の認識にもノイズが混じっている。
私は
誰?
半身で寝転がったまま目を覆うように被せられた手の平を眺めた。
意識ははっきりしており頭もちゃんと働いている。
しかし、それは覚醒したからでは無く、恐怖感からだった。
自分が分からない。
いや、分かってる。
二種類の記憶が綺麗に重なってるだけ。
厭な汗が体を伝う。
オリジナルとフェィクの判断が付かない。どちらもオリジナルに思えて、だから尚更両方フェイクにも思える。
二種類の記憶はこうだ。
一つめは、私は矢神高校に所属する高校生であり、性別は女。茶道部の部長を任されていて冷静さが特徴。
もう一つは、私は協会から派遣された古の魔術師の一族であり、この街には使命を受けて訪れている。
完全に相反している記憶。
普通に考えれば前者が正しいだろう。後者はあまりにも現実感に乏しい。
しかし、乏しいからこそ後者が単なる妄想にも思えない。
妄想にすれば非現実すぎるからだ。
それに
先刻、一瞬過ぎった疑問。
前者ならば、私の部屋にソファーなど無いし、日常的にそのような所で寝る事はあり得ない。
いや、あり得ない事は無い。
しかしそれは帰宅が出来なかった等特別な条件があっての事で、少なくとも私にはそのような記憶は無い。
それ以前に昨日以前の記憶が無いのだ。
それぞれの記憶にまつわるエピソードはちゃんと思い出せる。日常生活に関わる一般常識も問題は無い。
欠落しているのはここ数日の記憶。
前者で言うならここ2〜3日に起きた出来事。
後者で言うなら、この街に来てから目が醒めるまでの事。
断片的で曖昧な記憶は有る、しかし明確な出来事は思い出せない。
まるで意図的に、それも中途半端に隠されている感じがする。
私はどの記憶を信じれば良いのだろう……?
混乱と恐怖で
目を閉じかけたその時
カツンッっと
何かぶつかったような
乾いた音が耳に入った。
幻聴かと思った。
息を飲んで聴覚に神経を集中させてみる。
僅かな呼吸音。
ギシッっと誰かが動く事によって発生するノイズ。
カンッ……カツン……
先程聞こえた音より抑えられてはいたが、乾いた衝撃音も間が空いて感じられる。
誰か居る。
敵か味方かなど考えられなかった。
状況が把握出来なくて混乱と恐怖に囚われているこの状態で
この空間に私以外が存在している。
その事実だけで十分驚異だった。
認識してからは体が反射的に動く。
確実に味方だと信頼出来る者以外には警戒を。
全く判断が付かない時には対抗を。
素早く立ち上がって拳を握り、構える。
戦闘のスキルなんて持っていたかすらあやふやな頭で、構える。
部屋は光源が乏しくて暗い。先程聞こえた音源を頼りに神経を張る。
そこに誰かが居る事は間違いない。
しかし、その誰かは私なんて存在していないと思っているのか分からないが、立ち上がった私に無関心だった。
全く動く気配が無かった。
考える。
間を詰めるべきだろうか?
声で問い掛けてみるべきだろうか?
周囲を確認して脱出を試みるべきだろうか?
間を詰めて突然戦闘になると危険。ソレが誰か分からない以上こちらから動くのは得策とは言えない。
そもそも反射的に構えたけれど、絡まった記憶のオリジナルが前者なら私に格闘のスキルが有るのかどうかすら怪しい。
周囲を確認して脱出を試みるのは悪くないとは思う。しかし、そうなると矢張りネックは絡まった記憶だった。
ここがどこか分からない以上、外に出たからと言って安全とは言えないからだ。
むしろ、あそこにいる人物は私の味方の可能性だって
なにか記憶の隅がその可能性に引っかかった。
それは後者の記憶。使命を受けてこの街に訪れた時に、最初にせねばならなかった事とその結末。
凄く重要な事だった筈なのにしっかりと思い出せない。
最初にした事。
それはこの部屋だった事だけは朧気に感じられるのだが……。
構えを撮った姿で膠着したまま記憶を探ってみる。
闇の向こうの存在は動かないまま。
夜風がふぅっとカーテンを揺らした。
それが合図だった様に、カーテンを越えて月の光が部屋に差し込んだ。
月の光が存在を映し出す。
あっ!
照らされた背中を見て全てを思い出した。
蒼い背中。私が呼び出してこの部屋で初めて相見えた背中を任せられる存在。
槍を使う英雄。
後者の記憶がくっきりと繋がった。
ふぅ、と息をひとつ吐いて崩れるようにソファーに座り込む。
後者の記憶が繋がった事で、はっきりと前者がフェイクだったと理解出来た。
まだ思い出せないが、認めたくないが、それは恐らく私の願望だったのだろう。
異国の学生に憧れていたなんて考えた事も無いが。
落ち着いてみたら、全ての状況が後者を支持していた。
前者も嫌いではなかったが、服装は男性用のしかもスーツ。
膝に置いた手の甲には刺青のような呪紋がくっきりと印されてある。
はっきりすると莫迦みたいな事だった。
ちょっと自分に呆れながら全くこちらに興味を示さない背中を眺める。
はっきりした以上、使命に沿って行動を開始しなければならない。
記憶も追々思い出せるだろう。
「さて」
目覚めてから初めてそう声帯を震わして立ち上がろうとした時だった。
ようやく私に気付いたかのように背中がくるっとこちらに回った。
「えっ?」
「おはよ」
私の驚嘆の声と彼の気が抜けた声が重なった。
彼は不服そうな表情でこちらを見ている。
私は呆然とその顔を眺める事しかできない。
何故なら
今しがた、繋がった記憶がまた千切れた事を容認しなければならなかったからだった。
彼の顔は、前者……つまり、学生である彼女のクラスメートの顔をしていた。
「なんだぁ?まだ目が醒めてねぇのか?」
彼は薄笑いを浮かべて莫迦にするように私に言葉を投げかける。
「えっと、そうかも」
それに対して、私はそのような心細い返答しか出来ない。
彼の視線を避けるように膝に目を逸らしたら、そこにはちゃんと呪紋は存在している。
試しに軽くその紋に意識を集めると、ちゃんと彼と繋がっている事は確認出来た。
だから、間違っていない。
だけど、おかしい。
「おいおい、大丈夫か?オメーがしっかりしてくんなきゃこっちが困るぜ」
そんな私の不穏な態度を見てやや心配そうに彼が問い掛けてきた。
分かってる。
この戦いにおいて、彼に対しての主導権は常に私に有る。
彼が倒されても脱落にはならないが、私が倒されたらそこで私達はリタイアだからだ。
分かってるが、それ以前に私自身の存在がまた不確定になっている。
このままじゃ戦いようがない。
「……ホント、大丈夫か?どっか悪いのか?」
「体はすこぶる健康ね。体は」
彼の言葉を流しつつ、腕を組んで、んーと考える。
「問題は、頭かしら」
自分に言ったつもりだった。しかし、彼はそれを勘違いしたらしくあからさまに不快な表情になった。
放っておいても良かったのだけど、つい、その態度に補足を入れてしまう。
「私の頭よ」
「オメーの頭?」
今度は実に不思議そうな顔になる。それは無視して話を繋げる。
「いくつかおかしな質問するけど、良い?」
「良いぜ。オメーがしっかりしてくれねぇ事にはオレも動きようが無いからな」
「良い判断ね。じゃあ最初の質問。貴方は何故ここにいるのかしら」
私の質問に彼の顔の表情があからさまに歪む。
「そらー、オメーに呼び出されたからじゃねーか」
「どうやって?」
呪紋に視線を降ろす。
「携帯で」
「携帯で?」
「おう、携帯で」
便利な時代になった物だとしみじみと実感した。こんな事、協会にばれたら怒り狂いそうだ。
私のオリジナルが後者、だとすればだが。
「それで、貴方は呼び出されて何をするのかしら」
「喧嘩だろ。相手はしらねーケド」
間違ってはいない。しかし、出来ればもっと確実な用語とか言って欲しかった。
前者の私が喧嘩を煽る為に彼を呼び出す事だって十分あり得るからだ。
今の私にはその目的が全く想像付かないが。
「じゃあ最後。これからどうすれば良いと思う?」
呼び出された彼にしてみたら、全く解せない質問群だっただろうと思う。
なにせ、呼び出した本人に、なんで居るんだとか、何するんだとか訊ねられているのだから。
しかし、彼は根は真面目なので律儀に質問に答えてくれた。
「とにかくよ、ここでダベってても仕方ねぇんじゃねぇか?」
正論だ。前者にしろ後者にしろ少なくとも何かしらの目的は有ったはずだ。
それを思い出すまでここに留まっているのも手だが、ここまで絡み合っていると動いた方が良いかもしれない。
頭の中に考え得る限りのシミュレイションを組み立てて統計を取る。
それからも同じ答えが弾き出された。
理屈ではなく直感で考えても同じだ。
外には正体は掴めないが、戦わなければならない相手は存在している。
となれば。
私一人では危険だが、彼とならそれなりに動けるはずだ。
そうじゃないと、この状況に陥った理由がおかしくなる。
「そうね。とりあえず出ましょうか」
「だな」
彼はようやくホッとした表情になってニッと微笑んだ。
立ち上がってひとつ伸びをすると彼の傍に近づいた。
彼も立ち上がって大きくひとつ体を伸ばす。
そしてどこに隠していたのか分からないが、トゲが無数に突きだした棒……槍?を取り出して、それでストレッチを始めた。
思考は定まらないままだが、とりあえずの目的は見つけられた。
何故、こうなったか、何故彼なのかは私の想像の上にありそうだが。
ふと、彼が座っていた横の壁に姿見が設置されているのに気が付いた。
どちらの記憶も自分の容姿は好きではないが、何となくそれに写して眺めてみる。
体型と顔立ちは前者のソレだった。
体型と顔立ち以外は後者のソレのように見えた。
それは、私の後ろで半身に映っている彼にも言えそうな事だった。
思い切って鏡に向かって背中の彼に尋ねてみた。
「貴方が呼び出された目的って、なんだと思う?」
「そらー、オメーを守る為だろ」
鏡の向こうで振り向きもせず、当たり前のように返事された。
「……じゃあ、私がここに居る理由は?」
少し震えながら言葉を溢す。
「オレを助ける為だろ?」

なんだ。
それだったら別にどちらでも同じじゃない。
ここに至る過程は異なっても結論は同じだった。
ならば、別に迷う事など無いのだろう。
すべき事をして
伝える事を伝えれば良いだけなのだから。
「播磨君?」
「なんだ?」
鏡の向こうで彼が振り向く。
「行きましょうか。まず、どこからにする?」
「任せる」
そう答えて、彼は鏡越しにニヤッと微笑んで
くれた。
∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
某月某日の出来事。
美琴x播磨派の代表で有りながら晶x播磨にも御理解頂いております一郎さんとの会話。
「ニートでヒマだったんでfate両方やったよー」
「ほうほう、ならば以前あげた携帯絵が役に立つ時が来たねっ!」
「……ガンパレの?(注:姐さん誕生日記念の時に頂いた携帯のガンパレードマーチネタイラストの事)」
「違うよー。バゼットで描いたヤツあげたでしょー」
「あげたって、アレは分校に投稿したヤツじゃなかったっけ? 分校に落としたのを使うのは……それに、ネタイラストで話も書けないでしょ」
「でもアレはうるふさんに描いたヤツだし(注:確かに拍手でそんな事聞いたような気はする、っていうか聞いた。【その時の私の気持ち→■(別窓)】)」
「しかし、かといってアレで書いたら思いっきりクロスになるやん。クロスはなぁ……」
「ガンパレの時に『知ってるネタだったらクロスでも気にせず書いて文章付けたのになぁ』って言いませんでしたか?でしたか?(注:私はガンパレ知りません)」
「なんで二回言うのかな?かな? 言ったよチクショウ」
「と言う訳で、あのバゼットが日の目を見る時が来たようですね。ふっふっふ」
「でも分校にも投稿している訳だし、分校のをパクったって思われたらヤだしなぁ。なんせ保管倉庫持ちの神絵師様ですからー
って、一郎さんの保管倉庫にあのイラスト保管されてねぇ!」(*1)
「ここでキミがやらないと消えて行っちゃうよ。やるべきだよすべきだよ」
「や、やってやらぁ!」
とゆー流れがあって出来たのがこれです。
20万ヒットネタ企画なんでご容赦のほどを。
ちなみに
全マスター&サーヴァントの設定もこの後のプロットもオチも全部決まってたりしますが
ちょっとやりすぎ感があるんで、これはこれで。
メインも全然手が付けれてないし。
(*1):調べてみたら過去絵倉庫の第二絵板No.2787で発見しました